『百玉そろばん』オススメの使い方は?0〜6歳さん向けの効果的な使い方をご紹介します。

『百玉そろばん』は、目に見えない”数”という抽象的なものを、具体的に目に見えるものと結びつけることで、数概念の理解をうながすのに有効なツール。

しかしながら、「実際に『百玉そろばん』をどのように使えば良いのか?イマイチよく分からない・・・」という方も多くいらしゃるのではないでしょうか。

今回は、私がレッスンで実際に行っている『百玉そろばん』の効果的な使い方を、0~6歳までの年齢別にご紹介します。

おうちでの取組の参考にしてみてくださいね。

年齢別『百玉そろばん』の効果的な使い方

10個の玉が10列で100個の構造になっている百玉そろばんは、

  「100ってこんなにいっぱいあるんだ」

などと数の量感をつかんだり、

  「10のかたまりが10個で100になる」

など10進法を自然に理解することができる素晴らしいツール。

教室のレッスンでは、”かず”を知りはじめの2歳児さんクラスから、繰り上がりのある足し算・繰り下がりのある引き算を学ぶ年長さんまで、幅広い学年で『百玉そろばん』を活用しています。

①数(量)をインプットする ※0歳~

親御さんが、全部の玉を右側(お子さんから見て)に寄せた状態から、「いち、に、さん・・・」と数えながら、玉を1つずつ左側に動かして見せます。

数唱(数を1つずつ唱えること)と同時に玉を動かし、数(数詞)と数量(玉の数)を結びつけることで、数の量感をつかむことが目的。

ドッツカードを見せるのと同じで、右脳にインプットしていきます。

正しい数唱の順番と同時に、数(数詞)を単なる記号として唱えるのではなく、量として捉えられるようにしていきます。

1(いち)=●
2(に) =●●
3(さん)=●●●
4(し) =●●●●
5(ご) =●●●●●  

・・・・がイメージできるようになる、ということです。

ポイントは、ドッツカードを見せる時と同様、お子さんのペースに合わせてゆっくり行うのではなく、スピーディーにテンポよく行うこと。

りんこ
左脳が追いつかないほどの高速で見せることで、右脳に働きかけます。

1から順番に数える「順唱」に慣れてきたら「逆唱」(10~0、20~0、30~0・・・100~0)もやってみましょう。

②「1つずつ」数える(計数)※2歳くらい~

①のとおりに親御さんが百玉そろばんを数唱しながら見せていると、必ずお子さんが「やりたい!」と言ってくることでしょう。

その際、百玉そろばんの玉を1つずつ動かしながら数を数えることで、”1つのものに1つの数詞をあてはめて(1対1対応)数える”「計数」(数を数えること)の練習になります。

ただし、お子さん自身に数えさせる場合も、①のように親御さんがすばやく玉を動かして見せるインプットも並行して行うようにしましょう。

①のインプットと②の計数では目的が違います。

3歳頃までの右脳が優位に働く時期にはインプットが有効ですので、数の量感をつかむためにぜひインプットは継続していきましょう。

③「10ずつ」「5ずつ」「2ずつ」数える ※3・4歳くらい~

<10とび> 10,20,30,40,50・・・

<5とび> 5,10,15,20・・・

<2とび> 2,4,6,8,10・・・

「10ずつ」「5ずつ」「2ずつ」を、「1つずつ」の時と同じように、声に出して数えながら親御さんが玉を動かして見せます。

玉を見なくても「ごー、じゅうー、じゅうご・・・」と反射的に言えるくらいになるまで、繰り返しインプットしましょう。

なお、この時「5とび」なら「5,10,15」ときて

「50」で↓のような形になるパターンと、

「5とび」なら「5,10,15」ときて

「50」で↓のようになるパターンとがあります。

 

同様に「2とび」では「2,4,6」ときて

「20」で↓のようになるパターンと

 

「2,4,6」で

「20」になるパターンがあります。

レッスンでは5とび・2とび共、上記の横方向パターンと縦方向パターンの両方を織り交ぜてインプットしています。

りんこ
出来上がりの形が違ってもどちらも「50」や「20」であることの理解につなげるためです。

「10ずつ」「5ずつ」「2ずつ」数が増えていくということは、意識していなくても、「10が10個で100」、「5が10個で50」、「2が10個で20」といった具合に、10の段、5の段、2の段のかけ算と同じことをしていることになります。

九九を丸暗記するのと違い、具体的なイメージをもって数が「〇個ずつ」増えていくことを理解することにつながります。

また「5とび」がスラスラ言えるようインプットされていると、時計の読み方を教える時にも役立ちます。

④「10より大きい数」のしくみの理解 ※4・5歳くらい〜

「10より大きい数」が数えられて「ぜんぶでいくつ」がわかっていたとしても、「10といくつ」という考え方ができていない場合があります。

百玉そろばんは、10という数をまとまりとして捉えるのに適していますので、10のまとまりを意識させ、まずは20までの数を「10といくつ」としてとらえる取り組みをしてみましょう。

やり方は、「10と」

「1で」「11」

と言いながら玉を入れて見せます。

続いて~「10と2で12」~「10と10で20」まで行います。

20までの数が理解できたら、「20と1で21」というように数を増やしていき、100までの数を「10のまとまりがいくつ」と端数、という捉え方で理解させていきましょう。

⑤「合わせて10」/10の合成・分解 ※5・6歳くらい~

『数の構成』は、たし算やひき算の基礎となるたいせつな概念です。
中でも10の構成は、繰り上がりのある足し算・繰り下がりのある引き算に必要です。

「10の補数」(あといくつで10になる?)がぱっとわからないと、繰り上がり・繰り下がりをするときにたいへん苦労しますので、百玉そろばんを使って、「10の構成」を視覚的にインプットしていきましょう。

まずは百玉そろばんで「10の階段」を作ります。
玉をすべて右に寄せ、上から1段目は1つだけ左に寄せます。
2段目は2つ、3段目は3つ・・・・10段目は10個全部を左に寄せます。
これで、「10の階段」が出来ました。

次に1段目から、「1と9で10」と言いながら、左端と右端の玉を両手で真ん中に寄せて合体させます。
同様に、2段目「2と8で10」、3段目「3と7で10」・・・10段目「10と0で10」まで行います。
実際に玉が合わさって10のかたまりが出来るイメージが、頭の中で数を操作する基礎になります。

⑥合わせていくつ」「増えるといくつ」/足し算 ※5・6歳くらい~

たとえば「7+3=10」などの足し算をする際に、まだ頭の中で数の操作ができない段階では、まずは具体物を使って、実際に7つのものと3つのものを”合わせる”操作をやってみましょう。

徐々に、具体物が無くても頭の中だけで7と3を”合わせる”イメージをすることができるようになっていきます。

その際に使う具体物はおはじきなど何でもいいのですが、百玉そろばんなら、おはじきのようにばらけたりしないので扱いやすいという利点があります。

まだ頭の中だけで数の操作が出来ない段階で、計算ドリルをいくらやらせても出来るようにはなりません。

むしろ、わからないのでイヤになってさんすう嫌いになってしまいかねませんので注意が必要ですね。

百玉そろばん等の具体物を実際に操作した経験が、実際には目に見えない”かず”という抽象的なものを操作する際のイメージのもとになります。

⑦「残りはいくつ」「違いはいくつ」/引き算 ※5・6歳くらい~

「残りはいくつ」を求める引き算は、

たとえば「みかんが10個あります。5個食べてしまうと残りは何個でしょう。」

まだ頭の中で数の操作ができない段階では、足し算の場合と同じく、具体物を使って”10個から5個を取り去る”操作をしてみることが有効です。

また、同じ引き算でも「ちがいはいくつ」を求めるものもありますね。

たとえば「りんごが8個、みかんが5個あります。りんごとみかんの数のちがいはいくつでしょう。」

この場合、”ちがい(差)”という目に見えないものの意味の理解が、幼児さんにはむずかしくなります。

その場合にも、具体物を使うのが有効です。

百玉そろばんの1列目に8個(=りんごの数)、2列目に5個(=みかんの数)玉を並べると、8個のほうが5個のほうよりも3個余っています。
この”あまり”が、”数の違い(差)”です。

このようにして、「ちがい(差)」という抽象的な目に見えないものを、目に見える形で示してあげるのに、百玉そろばんは有効です。

⑧繰り上がりのある足し算・繰り下がりのある引き算 ※5・6歳くらい~

玉が10個ずつでひとまとまりになっている「百玉そろばん」は、繰り上がりのある足し算・繰り下がりのある引き算を理解するのにピッタリのツール。

百玉そろばんによる繰り上がり・繰り下がりのやり方はこちらの記事でご紹介していますのでご参照ください>>>百玉そろばんを使った「繰り上がり」「繰り下がり」のやり方

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最後に

以上、私が実際にレッスンで行っている『百玉そろばん』の使い方をご紹介させていただきました。

小学校に上がって「数」という抽象的なものを本格的に勉強しはじめる前に、百玉そろばんなどの具体物を使って、量感を伴いつつ数に親しんでおくことは有効ですね。

もちろん小学校に上がってからも、計算の補助に使う等、長きにわたって活用することができるツールです。

なお今回の記事では、右脳に働きかけて数の量感をつかむためのインプットのやり方を中心にご紹介しましたが、インプットしたものがしっかり理解できているかの確認と、実際に使える知識として定着させるためにはアウトプットが重要

別の記事↓で、百玉そろばんによるアウトプットの方法をご紹介していますので、こちらもぜひ参考にしてみてくださいね。

*関連記事:百玉そろばんで数の概念を育てるならインプットだけで終わらせない!理解の確認と定着を図るアウトプットの方法。

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