家庭学習に効果的に取り入れたい七田式『右脳をきたえる ひらめきドリル』

私の教室の小学生クラスでは、レッスン冒頭に、一気に集中力を高めアタマをレッスンモードに切り替えるための取組を行っています。
そのうちのひとつが、七田式のプリント教材『右脳をきたえる ひらめきドリル』。

☆七田式(しちだ)プリント教材☆右脳をきたえる!ひらめきドリル☆★

ほとんどすべての問題が目標時間1分以内、スラスラと高速で解く問題ばかりが集められています。
時間を計って集中して取り組むことで右脳に刺激を与え、「ひらめきが生まれやすい柔らかい頭にすること」を目標としたドリルです。

教室では、レッスン冒頭の1分間このドリルに集中して取り組むことで、これから始まる90分間のレッスンに向けてグッと集中力を高めています。

今回は、『右脳をきたえる ひらめきドリル』でどんな力が身につくのか?また、『右脳をきたえる ひらめきドリル』を家庭学習に有効に取り入れる方法とは?についてお伝えします。

『右脳をきたえる ひらめきドリル』で身につく6つの力

『右脳をきたえる ひらめきドリル』はvol.1~3までの3冊セットで、各巻48問ずつの計144問。
1冊の中に類題が4回出てくる構成となっていて、各巻12種、3巻で計36種の問題パターンが掲載されているということになります。

この全144問を通して、全体把握・想像力・直観力・単語像認識・空間知覚・発想力の6つの力を伸ばすことを目的としています。

「全体把握」対象の部分にこだわるのではなく、全体的に捉え、理解する力を高める。

「想像力」頭の中で、ものの姿や形を明確に描く力を育てる。

「直観力」比較、識別問題、高速処理により、思考に頼らない判断力を高め、インスピレーションを磨く。

「単語像認識」言葉の持つ意味に重点を置くのではなく、分解・変形された言葉の元の形を視覚的に探し出す。

「空間知覚」平面、立体の絵図を見て、空間的に構造を把握する力を高める。

「発想力」自分で考え、イメージやアイデアを自由に広げる力を育てる。

つまり通常のドリルのように「計算」や「漢字」など、ある教科のある特定の項目ができるようになるためのものではなく、どの教科の学習にも共通して必要になる基礎の力を伸ばすためのドリルとなっています。

以下で、具体的な問題の一部をご紹介します。

例のように、縦、横、斜めに同じ文字が並んでいるところを見つけて、線でつなぎましょう。(全体把握・直観力)

0~9の数字のうち、書かれていない数字を( )の中に書きましょう。(全体把握・直観力)

1つ1つの要素を順番に見て探すよりも、絵全体を視野に入れて眺めるように見る、いわゆる“引き”の視点で全体を俯瞰して見ると、意外にもぱっと探していたものが目に入ってくる、ということがよくあります。

何かを集中して見ようとするとき、自然と顔がそこにぐっと寄ってしまっていることが日常生活の中でもあると思いますが、そんな時、意識的に”引いて“見ることで見えてくるものもあるのです。

「全体把握」の問題は、こうした引きの視点で全体を俯瞰して見る見方、ひいては一度にたくさんの情報を視覚で捉えることで情報処理能力を高めるトレーニングになります。

次の絵を10秒間見て隠し、目を閉じて、絵をイメージしましょう。
その後、絵を隠したまま、どこに何があったか思い出して、下の枠の中に言葉で書きましょう。(全体把握・想像力)

次の絵を1分間見た後、絵を隠し、設問に答えましょう。(全体把握・直観力・想像力)

このドリルで言うところの「想像力」とは、何もないところから新しいものをイメージする力、というよりは、目で見たものを頭の中に鮮明に思い浮かべる力のこと。目で見たものを頭でイメージ(再現)し、それを絵や文字でアウトプットするので、記憶力のトレーニング、といったほうが近いかもしれません。

?のマスに入る図形はどれでしょう。当てはまる答えの番号を□に書きましょう。(直観力・想像力)

じっくり考える前にぱっぱっと直感的なひらめきで答えを出すトレーニング。時間をかけて考えればわかるような問題を、時間制限を設けてすばやく判断することで処理スピードを上げていきます。

文字を並べかえて、5文字の言葉を作りましょう。(全体把握・直観力・単語像認識)

□の中に文字を入れて、言葉を完成させましょう。(直観力・単語像認識)

サイコロを開いたときに、☆がどこに来るか、展開図にかき入れて、展開図を完成させましょう。(想像力・空間認識力)

サイコロが図のように転がったとき、上になる面の目の数はいくつでしょう。(想像力・空間認識力)

頭のなかで図形を自由に動かすイメージができるようになるトレーニングです。これらができるようになるためには、当然、実際のものを目で見て触れる体験が必要になります。

くだものの名前を、1分間で思いつくだけ書き出しましょう。(発想力・想像力)

空いているところに連想する言葉を書きましょう。(発想力・想像力)

ある条件からイメージするものをどんどん思い浮かべていく問題です。

「発想力」の問題は、答えが1つだけではなかったり、決まった正解はなく自由に考えて答えればOK。すなわち「拡散思考」(ひとつの事柄<情報・条件>からいろいろな方向に思いをめぐらせる能力)が必要になります。

※「拡散思考」とは逆に、二つ以上の事柄(情報・条件)からひとつの結論を導き出す力が「集中思考」。論理的思考や推理力といわれるもので、通常のドリルでは「集中思考」を問われるものがほとんどです。

これからの時代には”答え”のない問いに立ち向かう力がますます求められるようになっていきますから、「答えは1つではない」ということを知ることはとでも大事ですよね。

 

以上、いくつかの問題をご紹介しましたが、これらはごくごく一部。実際には36パターン・全144問の問題が掲載されています。

『右脳をきたえる ひらめきドリル』家庭学習への有効な取り入れ方

 

学習の冒頭やインターバルに行うことで集中力を高める

レッスンでの取り入れ方と同様、家庭学習の場合でも、冒頭に『ひらめきドリル』を1回1枚行うことで、遊びモード・ダラダラモードからお勉強モードに気分を切り替え、グッと集中力を高めてから学習に取り掛かることができます。

いわば「今から勉強するぞ!」という気分を高める儀式、スポーツ選手が試合前に行うルーティーンのようなもの、とも言えますね。

また学年が上がって学習時間が長くなってきたら、教科と教科の間などにインターバルとして何枚か取り入れる、というのも良いと思います。
じっくり考えるタイプのものとは頭の使い方が違うので、うまくリフレッシュできるのではないでしょうか。

『右脳をきたえる ひらめきドリル』に限らず、例えば「百ます計算」など、じっくり考えるというよりは直感的・感覚的に行うもの、且つ時間を図ったりして短時間で集中してできるものであれば、上記のように学習の冒頭やインターバルに取り組んで集中力を高めるのに活用できます。

しかしながら『右脳をきたえる ひらめきドリル』は他の教材とは異なり、問題のバリエーションが豊富で、且つお勉強っぽくない内容なので息抜きにもなり、抵抗なく取り組めるのもよいところだと思います。

一日一枚、家庭学習の習慣をつけるのに使う

『右脳をきたえる ひらめきドリル』は、漢字の知識や計算のスキルなどが必要な一部の内容を除けば、幼児さんでもじゅうぶん取り組める内容になっています。

小学校入学前に家庭学習を習慣づけておきたい、と考えておられる親御さんは多いと思いますが、そういった場合にもこちらのドリルは有効に使えると思います。

このドリルの最初にも、『進め方』として

目安は1日2枚ですが、難しければ1日1枚でも構いません。継続することが何より重要です。「一度にたくさん」を途切れ途切れにするよりも、少ない枚数を休まず毎日続ける方が、効果があります。

と記載されています。

まずは毎日の学習を習慣づけることが第一目的の場合、取り組む内容は何でもよくて、とにかく毎日、短時間でも良いから必ず机に向かうことが重要になります。

最初はお勉強っぽいものだとなかなか気が進まない・・・という場合でも、こちらのドリルならばクイズっぽい楽しい内容ですし、時間も短いので取り組みやすいです。

「とはいえ1分じゃあ・・・」と思われるかもしれませんが、まずはタイムを計って制限時間内で集中して解いたあと、時間内にできなかった分は時間外でちょっと時間をかけて解いてみるといいですね。
それでもトータルで5~10分位かとは思いますが。

最後に

書店に行くとたくさんのドリル類が並んでいますが、『右脳をきたえる ひらめきドリル』は、一般的に書店で売られているドリルとはちょっと毛色の違った内容のドリルになります。

どの教科の学習にも共通して必要になる基礎、土台となる力をつけるためのこちらのドリル。
うまく取り入れることで、学習の効果をより高めていただければと思います。

※こちらの記事もよく読まれています>>>幼児の家庭学習を習慣づけるおすすめの方法:3つのポイント

おうちで知育

就学前のお子さんに、毎日勉強する「習慣」をつけさせるのはなかなか大変なもの。 とはいえ、今までまったく勉強したことがない…