先日、2019年の「グッド・トイ」受賞おもちゃが発表されました。
「グッド・トイ」とは、日本で唯一の総合的なおもちゃの認定資格である”おもちゃコンサルタント”の投票で選ばれた、”よいおもちゃ”。
全部で45ある2019年の受賞おもちゃの中で、私がぜひ教室のレッスンで使ってみたい!と思ったものを5つ、ご紹介したいと思います。
そもそも「グッド・トイ」とは?どんなおもちゃが選ばれるの?
「グッド・トイ」とは、パパ・ママやおじいちゃん・おばあちゃんがおもちゃを選ぶ際の目安を作るべく、東京おもちゃ美術館を運営する認定NPO法人 「芸術と遊び創造協会」が毎年行っているおもちゃの受賞制度で、「おもちゃコンサルタント」の投票によって選ばれます。
「おもちゃコンサルタント」は、赤ちゃんの成長・発達との関わりから、お年寄りのリハビリ、ヒーリングまで、幅広い視点でおもちゃを捉える、日本で唯一の総合的なおもちゃの認定資格。
「おもちゃコンサルタント」の資格取得者の中から、保育士、児童館職員、小児科医など、「グッド・トイ」の投票権を持つ全国約2000名のおもちゃコンサルタントが
1.健全なおもちゃ
2.ロングセラーおもちゃ
3.遊び・コミュニケーション尊重おもちゃ
という3つの方向性と、
1.心地よい音
2.動きのバリエーション
3.感触のよさ
4.適度な大きさと重さ
5.美しい色と形
6.丈夫さと壊れにくさ
という6つのポイントで推薦・投票し、「グッド・トイ」受賞玩具を選んでいます。
※グッド・トイ、おもちゃコンサルタントについての詳細は公式ホームページ(https://goodtoy.jp/)をご参照くださいね!
「グッド・トイ2019」より、私がレッスンで使いたいおもちゃ5つ
上述したように、「グッド・トイ2019」には大賞を含め45のおもちゃが選ばれていますが、その中で、私が教室のレッスンで教材として使いたい!と思ったものを5つ、ご紹介したいと思います。
バニー・ブー
■レッスンで使いたい学年:年少前さん(3歳児)~年少さん
■このおもちゃで学べること:空間認識に関する概念
「バニー・ブー」は、木製のうさぎと赤・青・黄色の3つのパーツを、問題のカードに描かれた図と同じになるように並べたり積んだりするパズル。
パーツはたった4つですが、60通りもの置き方のパターンがあります。
「うさぎが星型の穴から顔を出している」や「赤い積み木の上に黄色い積み木があって、その上にうさぎが立っている」「赤い積み木の手前にうさぎが立っている」など、「かたちの認識」や「色の認識」だけでなく、「〇〇の上/下」や「〇〇の中/外」「〇〇の前/後ろ」など、空間認識に関する概念を可愛いうさぎの人形を使って学べるところが、3歳前後のお子さんにも親しみやすそうで良いですね。
色あわせつみきゲーム
■レッスンで使いたい学年:年少前さん(3歳児)~年少さん
■このおもちゃで学べること:空間認識に関する概念
「色あわせつみきゲーム」は、付属のカードのイラストと同じ順番に5色(赤・青・緑・黄・オレンジ)の積み木を並べる早押し競争ゲーム。
カードに描かれた平面のイラストを見ながら積み木を立体的に積むことで、「黄色の上にオレンジ」や「赤の右に青」「青の前に黄色」など、「上/下」や「右/左」「前/後ろ」など、空間認識に関する概念をやしなうことができます。
空間認識力を高めるという点では上でご紹介した「バニー・ブー」と同様ですが、この「色あわせつみきゲーム」は、”早押し競争ゲーム”になっているところがミソ。
1枚のカードを見て、イラストの通りに積み木を並べ終えた人がカスタネットを鳴らす早押し競争なので、より素早く、平面から立体をイメージして積まなくてはなりません。
たいていの子どもはゲームとなると俄然モチベーションが上がるので、楽しみながら空間認識力が高められます。
もちろん年齢の低いお子さんの場合などは、競い合わずゆっくり取り組んでもいいですね。
カラーコード
■レッスンで使いたい学年:年長さん~小学生
■このおもちゃで学べること:図形認識力、論理的思考力、試行錯誤する力
スマートゲーム SMRT Games カラーコード パズル Colour Code SG090JP ドリームブロッサム 5才から
「カラーコード」は、さまざまな形が描かれた透明なプレートを重ねて、問題と同じ模様を作るパズル。
付属している問題集には100問も掲載されています。
図形のかたちや向きだけでなく、重ねる順番も考えないと正しく模様が作れません。
図形認識力のみならず、論理的な思考力や洞察力がやしなわれるパズルです。
小学校受験で出題される課題のひとつに「重ね図形」がありますが、図形と図形を重ねた時にどうなるかをイメージできるようになるためには、実際に図形を動かしたり、回転させたり、反転させたりしてみる経験が必要ですね。
頭の中で自由に図形をうごかすイメージができるようになるために、「実際に手を動かして、試行錯誤しながら図形を動かしてみる」体験を積むことができるパズルです。
ワードスナイパー
■レッスンで使いたい学年:年長さん~小学生
■このおもちゃで学べること:拡散的思考力、語彙力、思考の柔軟性
「ワードスナイパー」は、カードに書かれた”お題”に合う言葉を素早く答えるカードゲーム。
カードは表がお題、裏が文字となっていて、例えば表が「冷たいもの」、裏が「こ」なら、「”こ”がつく冷たいもの」→「こおり」などと答えます。
お題は「乗り物」や「昆虫」「人間の体の一部」「国名」などのわかりやすいものから、「固いもの」「ことわざ」「物語のタイトル」など、文字を制限されるとかなりむずかしそうなもの、更には「力を表す言葉(~力)」や、「生きるために必要なもの」といった哲学的(?)なものまで幅広く、ある条件からたくさんのことを思い浮かべる「拡散的思考力」をやしなうのにピッタリですね!
そして、このゲームの良いところは、答えがお題に合っているかどうは一緒に遊んでいる人同士決める、というところ。すなわち「答えはひとつではない」のです。
これからの時代に求められる学力として、「答えが一つではない、もしくは決まった答えがない課題」に取り組んでいくことが求められる中、どうしても”正解”を探してしまったり、間違えることを恐れて自由に自分の考えを言えない子どもも多く見られます。
そんな中、いろんな人とこのゲームで遊ぶことで、自分には思いつかないような言葉や感性に出会うことは「いろんな考え方があっていいんだ」と実感することができる貴重な機会になりそうですよね。
ヒットマンガ
■レッスンで使いたい学年:年長さん~小学生
■このおもちゃで学べること:絵を見て状況を読み取る力、想像力、表現力
『ヒットマンガ』は「かるた」をベースにしたゲームですが、カードには架空のマンガの一コマが描かれていて、吹き出し( セリフ)の部分は空白になっています。
読み札は絵札と同じカードで、読み手は絵に合うセリフを自由に考え、他のプレーヤーの前で読み上げます。
取り手はそのセリフを聞いて、取り札の中からセリフに合うと思われるカードを取ります。
みんなが正しいカードを取れないと読み手もマイナスポイントになってしまうので、みんなに伝わるようセリフを言う際の演技力も問われるという、大人でもかなり楽しめそうなゲームです。
教室のレッスンでおこなう取組に「お話づくり」があります。
バラバラになった2~4枚程度の絵カードを時系列でじゅんばんに並べ、絵に合うストーリーをお話する、というもので、絵からどんな状況かを読み取る力や、どうしてこうなったのか?その次にどうなるのか?等を考える想像力、考えたストーリーを伝える表現力等をやしなうのが目的です。
この『ヒットマンガ』では、「お話づくり」の取組と同様に「絵を見て状況を読み取る力」「想像力」「表現力」が必要になりますが、ゲームの勝ち負けがかかってきますので、「読み取ろう」「伝えよう」というモチベーションを最大限に上げることができるのがポイントですね。
最後に
「グッド・トイ2019」受賞おもちゃは45種いずれも素晴らしいものばかりですが、ここでは特に知育的な面を重視して、”私がレッスンで教材として使いたい!と思うもの”、という視点でピックアップした5点をご紹介させていただきました。
受賞おもちゃの中には販売は何年も前からされているものも多いのですが、私は「こんなに知育に使える良いおもちゃがあったんだ!初めて知った」というものもたくさんありました。
不勉強を反省しつつ、今後も引き続き「グッド・トイ」にはしっかり着目していきたいとあらためて思った次第です。