ひらがなが読めない・書けない子の文字学習の手順を『発達が気になる子への読み書き指導ことはじめ』で学ぶ。

ひらがなの読み書きを本格的に習うのは、小学校1年生の国語の授業。

その学習方法は、文字のなぞり書きや模写、絵を見てその名称をひらがなで書く、文字のはね・はらいや止めを丁寧に行う、音読などになります。

しかしながら、発達が気になる子の場合、この一連の学習方法ではうまく習得できないことがあります。

今回ご紹介する書籍『発達が気になる子への読み書き指導ことはじめ』では、

☑ひらがなが読めない

☑ひらがなを読んでも意味がわからない

☑ひらがなを読めるが書けない

☑ひらがなを書けても読めない

☑ひらがなを丁寧に書けない

・・・といった困りごとを抱えたお子さんが「意味のある」文字の読み書きができるようになるための文字の学習方法が紹介されています。


発達が気になる子への読み書き指導ことはじめ

私もレッスンで2歳児さん~小学校低学年のお子さんにひらがなを教える中で、上に挙げた読み書きの学習方法(なぞり書き、模写、音読など)を行うこともありますが・・・

3~4歳でどんどんひらがなの読み書きを習得していく子がいる一方、小学校に入ってもなかなかスムーズにひらがなが書けない子も多く、有効な指導の方法を探している中で、こちらの書籍はとても参考になりました。

今回の記事では、『発達が気になる子への読み書き指導ことはじめ』で紹介されているひらがなの読み・書きの学び方についてご紹介しています。

なお本書には、読み書き指導に使用する教材130点が収載されたCD-ROMが付いているので、自分で教材を作成する手間がかからず即、実践することが可能です。

お子さんが文字の読み書きにつまずいている、という方にはぜひ参考にしていただきたい本です。

ひらがなの読み書き学習で大事なこと

コミュニケーションとしての文字

文字の読み書き指導を受けている子どもたちの中には、繰り返し自分の名前をなぞり書きして、名前だけは書けるようになったけれども他の文字は書けない、また自分の名前は読める(認識できる)けれども一文字ずつ読むことができない、というケースがあります。

もともと文字はコミュニケーションの手段のひとつなので、まずはコミュニケーション能力を高める必要があります。
人に何かを伝えることで、何かがうまくいく経験を繰り返すことが大切。

りんこ
文字でなくても、ジェスチャー、モノや写真やシンボルカードを指し示すなど何でもOK

重要なのは、相手に伝えたい内容が子どもの中で明確になっていること。そのためには話はできなくても頭の中での言葉(内言語)が増える必要があります。

「意味のある文字が書ける」こと

文字はコミュニケーション手段の一つであり、単に文字が書けるだけでなく「意味のある文字が書ける」ことが必須。

そのためにはまず物には名前があることに気づく、すなわち語彙を増やす必要があります。

1文字ずつ文字が読めるようになるためのプロセスは以下のとおり。

 車を見て「くるま」という名前がわかる(言える)

※モノと音が結びつく

→車と「くるま」という単語(文字)のマッチングができる

※モノと単語が結びつく

→車は「く」「る」「ま」の3文字からできていて、1番目が「く」2番目が「る」3番目が「ま」とわかる

※1文字ずつの音と順番がわかる

そのため、文字を書く前段階として文字読みを行う必要があります。

りんこ
この段階を無視して文字のなぞり書きばかりさせても、なかなか読み書きできるようになりません

文字の読み書きを練習するタイミング

文字の読み書きを練習するタイミングは子どもが文字に興味を持ち始めたとき。

そのため普段から絵本の読み聞かせをして、文字に触れる機会を増やすことが大切です。

また、実際に読み書きの練習を始める時は、子どもの興味関心あるものから行いましょう。

りんこ
乗り物が好きなら乗り物から、動物が好きなら動物から

また、車の絵を見て「くるま」と名前がわかり、「くるま」と書けるようになるだけでなく、車に関するさまざまな概念や知識、理解する力も併せて育てていきましょう。

例:「くるま」とは・・・

・乗り物のなかま
・人や荷物を運べる
・タイヤが4つある
・ガソリンで走る
・乗る時はシートベルトをしなければならない
・シートベルトは警察に捕まるからつけるのではなく安全のためにつける

等々・・・

このような力が育つことで、文章を読んで理解したり、自分の考えや意見を文章で表せるようになっていきます。

読みの学び方

①語彙

文字の読み書き練習を始める前に、まずは子どもがどれ位の語彙を持っているか確認します。

りんこ
語彙の少ない段階で読み書きの練習をしても効果は期待できません

付属のCD -ROMに入っている絵文字カードの絵を使用し、1枚ずつ絵を見せて、名前を言わせます。

名前が正しく言えたものと言えなかったものに分けて、語彙記録シートに記載します。

評価の際と同様に絵文字カードの絵を見せ、正しく言えないものに関しては正しい名前を教えて、語彙を増やしていきます。

りんこ
語彙を覚える順序は、名詞→動詞・形容詞へと進めましょう

また普段から意識して、身の回りにあるものの名前を教えるようにしましょう。

・絵の実物があれば確認したり教えてあげる
・憶えてほしいものの絵や写真を壁などに貼る
・絵本に出てくるものの名前を教える

➁文字の読み

まずは付属のCD -ROMに入っているランダム50音表で、1文字ずつ読めるかどうか確認し、読みチェックシートに記載します。

以下の指導法をすすめながら、時々読める文字が増えたかを確認しましょう。

マッチング

絵カードと単語カードをマッチングすることで、読める文字を増やしていきます。

なお、この段階で「単語」を読める必要はなく、単語全体のイメージでマッチングできればOK。

りんこ
1文字ずつ読むことから始めるより効果的。

1文字は、それだけでは意味をなさないものが多くイメージがつかみにくいため、まずは単語全体のイメージで読み取れる力を伸ばしていきましょう。

行う順番は 清音→濁音→半濁音→拗音→促音→長音
文字数は2~3音節から始める
① 単語の選択

子どもが読めるひらがなが使われている絵文字カード(単語の面)2枚を並べ、「くるまはどっち?」などと選ばせます。

りんこ
文字数が違うなど見分けやすい組み合わせで行います(例:「すいか」と「うま」)

カードの位置を変えるなどして繰り返し行い、正しく選べるようになったら次の2枚にすすみます。

この2枚も正しく選べるようになったら、前の2枚と合わせて、組み合わせをかえながら2枚ずつ提示します。
これもできるようになったら新しい2枚を加えます。

りんこ
こうして、少しずつ確実に選択できるものを増やしていきましょう。
➁ 単語と絵のマッチング

① で正解したカードを使用します。(例:「うま」と「すいか」)

単語を表にしたカード1枚の下に、絵を表にしたカード2枚を並べて置き、単語カードを指差して「これはどっちかな?」と選ばせます。
不正解の場合は、カードの位置を変えるなどして繰り返し行います。

次に「すいか」の単語を表にしたカードを上に置き、同じように行います。

③絵と単語のマッチング

➁の逆パターンの取り組み。➁で正解したカードを用意します。(例:「うま」と「すいか」)

うまの絵を表にしたカードの下に「うま」「すいか」の単語を表にしたカードを並べて置き、うまの絵を指差し「これはどっちかな」と選ばせます。

不正解の場合は、カードの位置を変えるなどして繰り返し行います。

次に「すいか」の絵を表にしたカードを上に置き、同じように行います。

④質問して単語を選択

➁③でマッチングできるようになったカードを3枚ほど選びます。
単語を表にして並べて置き、「うまはどれ?」などと発問して子どもに選ばせます。

徐々にカードの種類を変えたり、枚数を増やして行います。

➄単語を読む

④で選択できるようになったカードを用意し、1枚ずつ見せて読ませます。
難しいようであれば④を繰り返し行います。

絵の名称の単語づくりⅠ(1文字ずつ読む練習)

この段階で初めて、1文字ずつ読むことに向けて練習を行います。

りんこ
清音のみ、2~3文字くらいからはじめましょう。

絵に対して必要な文字が選択でき、その順序性が正確にわかるようになることが目標です。

例:🐎を構成している文字は「う」と「ま」で、1番目に「う」2番目に「ま」が来ることがわかる
① 必要な文字のみ使う

マッチングできるようになった絵文字カードと文字チップを使用します。

絵を表にした絵文字カード1枚と、絵の単語分の文字チップを順不動に置きます。

りんこ
文字は回転させないように置きましょう

絵文字カードの横に、文字チップを正しく並べさせます。
うまくできたら、次の絵文字カードに進みます。

➁ 不要な文字を加える

① が確実にできるようになったら、絵を表にした絵文字カード1枚と、その単語分の文字チップに関係のない文字を1文字加えて順不同に置き、並べ替えて正しい言葉を作らせます。

増やす文字は、まったく似ていない文字から始めます。
徐々に、関係ない文字を増やして行いましょう。

③似た文字を使う

➁が間違えずできるようになってきたら、「き」と「さ」、「め」と「ぬ」、「ね」と「わ」など、似た文字を追加して行います。

絵の名称の単語づくりⅡ(文章づくり)

レッスン1とレッスン2で語彙が増え、名詞をたくさん覚えてきた段階で、文章づくりを練習します。

用意するものは、「水を飲んでいる人」や「走っている人」「泳いでいる人」などの絵カード(市販のもの)と、CD-ROMに入っている文字チップ。

例:水を飲んでいる絵と、「み」「ず」「を」「の」「む」の5枚の文字チップを用意し、チップを並べて絵に合う文を作らせます。

文章を作るためには、動詞や形容詞などを名詞につなげる必要があるります。
普段の生活の中でも、動詞や形容詞などを意識的に聞かせて教えましょう。

また助詞を意識して話し、自然に耳から助詞を覚えさせましょう。
相手の立場に立って考えることが未熟な場合には「りんごがたべた」など、助詞の使い方を誤ることが多くなります。

りんこ
普段の会話では助詞を略しがち。「お皿取って」ではなく「お皿を取って」、「公園行くよ」ではなく「公園に行くよ」などと正しく言うよう意識しましょう!

② 本読み

ここでは、読むことと読解力を育てていきます。

本がうまく読めるよいうになるためには、視力、眼の動き、注意力、知識、理解力など多くの力の発達が不可欠です。

まずは子どもが好き、または興味のありそうな絵本を用いて以下の内容を確認します。

自分で読める場合は、

☑スムーズに読めるかどうか
☑読みの速さはどうか
☑読んだ内容について質問して答えられるかどうか
☑ストーリーを時系列順に説明できるかどうか

自分で読めない場合は、

☑読み聞かせをしたときに興味・関心を示しているか
☑どの程度の時間じっとして聞いていられるか
☑本をどれだけ開いていられるか

を確認し、子どもが難しいと感じているところからレッスンに入りましょう。

本の読み聞かせ~文字が読めない段階

文字が読めない段階では、絵本の読み聞かせを行う中で、絵に描かれたものの名称を教えたり確認したりしながら、絵本が好きになるようにしていきます。

りんこ
読みたい本を子どもに選ばせるのも良い!

最初から欲張ってたくさんのページを読み聞かせることがないよう、子どもが集中できる時間で行うようにしましょう。

読み聞かせは文字を教えるためにするわけではありません。

本に親しませる、親子の関係性を高める、話を聞く姿勢を育てることがねらいとなります。

りんこ
読み聞かせにより知識が豊富になると、日常の活動や対人関係によい影響が出る場合も。

本の読み聞かせと部分読み~読める文字がある段階

ひらがなが部分的に読めて、興味・関心が高まっている時期には、もっと読めるようになりたい気持ちが高まっています。

CD -ROMのランダム50音表を用いて子どもが今読めるひらがなを確認し、読みチェックシートに記入しておきます。

読み聞かせの時に子どもが読める文字を指して読ませ、読めたらたくさん褒めてあげましょう。

りんこ
「自分は本が読めるんだ」という自信をつけさせ、文字や本読みへの興味を高めます。

本読み~清音が読める段階

ほぼ清音が読める段階になったら、子ども自身で大部分を読む行程に入ります。

子どもの好きな、または興味のありそうな絵本を準備しましょう。

① 逐次(ちくじ)読み

逐次(ちくじ)読みとは、文字を1文字ずつ追って読むこと。

ひらがなの清音がほぼ読めるようになってきたら、子どもに本を読ませるようにしていきます。

子どもの年齢に関係なく、1~3歳対象程度の絵本を使いましょう。(すべてひらがなで書かれ、文字は大きく少な目、文字の間隔が空いているもの)

りんこ
なお逐次読みの段階ではまだ内容の理解はむずかしいです。
➁濁音・半濁音・促音・長音を読む

清音の本読みがスムーズになってきたら濁音・半濁音・促音(詰まる音。小さい”っ”)・長音(伸ばす音)を教えるようにしていきます。

※濁音の場合、例えば「ぼうし」であれば、「”ほ”に点々がつくと”ぼ”だよ」と教え、その音のある位置だけを意識させるのではなく、文章の流れで「ぼうし」と読めるようになるところから始めます。

③ 拗音を読む

拗音(ねじれた音。小さい”ゃ””ゅ””ょ”)は、子どもが「しゃ」を「しや」と読んだ後に、「し」と「や」を早く言ってみようと促し、「しや、しや、しや・・・しゃ」と繰り返し言い気づかせていきます。

④ 内容の理解

最初は、質問しやすい内容が書いてある行を読んで、その内容について聞いてみます。

例:あかいくるまがはしっています→「何が走っているのかな?」

文章に出てくる名称の意味が理解できているかも確認しましょう。

例:「車ってなあに?」

答えられないようなら「お出かけするときに乗るのりものだね」「タイヤが4つあるね」などと教えてあげましょう。

1ページ読んだら、そのページに書いてある内容をひとつ質問するようなかたちで進めていきましょう。

りんこ
あまりしつこく質問するとイヤになってしまうので、子どもの反応を見ながら楽しく確認します。
➄ 質問をする

スムーズに読めるようになってきたら、文字の多い文章を読んでいきます。

質問する内容も、本に書かれていないことを質問していきます。

例:たろうくんは、ころんでひざをすりむいてしまいました。→「ひざをすりむいたときはどうしたらいいのかな?」

わからない場合は、子どもに転んだ時の体験を聞いてみたり、「お母さんに言って、ばんそうこうを貼ってもらおうね。」などと教えてあげましょう。

りんこ
こんな時にはどうしたらいいのかな?という内容の質問に答えられる力をつけていきます。
⑥ 登場人物の気持ちを考えさせる

登場人物の気持ちを考えさせることで、相手の立場にたって気持ちを考えられるようにしていきます。

例:
あかちゃんがないていました→「あかちゃんはどうして泣いているのかな?」
たいせつなおもちゃがこわれてしまいました→「こわれてしまってどんな気持ちかな?」

相手の立場にたって気持ちを考えられるようになることは、対人関係やソーシャルスキルの発達に有効です。

りんこ
3歳くらいまでは、相手の立場にたって気持ちを考えることはむずかしい→いたずらに対して厳しく叱ってしつけることは無意味。
4歳以降になると、次第に相手の気持ちを理解できるようになっていきます。

書きの学び方

文字書きの練習を始めるには、文字が読めるようになっていることが前提。
文字が読めるようになるまでは、文字をなぞって書く練習よりも、具体的な物をイメージしながら自由に書くことが一番大切です。

また最初のうちは、鉛筆の持ち方や筆圧も特に指示しないようにしましょう。
描くことが嫌いになったり苦手意識を持つようになると、文字を書く練習自体がうまくすすめられなくなってしまいます。

筆圧が弱い場合には、濃い鉛筆やマジックを使用するなど道具を工夫しましょう。
書くことがうまくなってくると、次第に筆圧も高くなっていきます。

りんこ
自然に適度な筆圧になっていくことが重要。

なお、書いている時の姿勢、鉛筆をどちらの手で持っているか、反対の手はどこに置いているか、関節はどこを動かしているかを観察し、のちに修正すべきところは修正していきます。

文字が読めるようになってきたら、文字を書くために必要な線や形を描く練習ののち、文字を書く練習に入っていきます。

文字で物の名前を書くには、モノの名前を頭の中で音にして、その音の順序性を把握する力が必要。

例:みかん

みかんを見て頭の中で「みかん」とわかる

→「み」「か」「ん」3つの文字で構成されていることがわかる

→1番目が「み」、2番目が「か」、3番目が「ん」と順序性がわかる

これには、音や文字の並びのイメージを頭の中に記憶・保持する力、また記憶・保持したものを操作する力が必要となります。

また文字書きに困難さがある子どもは、手先が不器用、形を見分ける力や、どこから線を書き始めると良いかなどを見る力(位置関係を把握する力)が未発達な場合があります。

その場合、読めるが書けない、また左右逆の鏡文字を書いてしまうことも。

手先の不器用さが原因で文字書きに困難を抱える子には、はじめから小さな字で書かせたり、撥ねや払いを書かせると、結果的に読みにくい文字にってしまうことがあります。

小学校低学年で撥ね・払いを学びますが、まずは読める文字を書けることが大切なので、撥ね払いはせず線の最後は止めるように教え、なるべく正しい書き順で書けるように支援しましょう。

りんこ
一生懸命書いたのに直されたり何度も練習させられたりして、書くこと自体が嫌いになってしまわないよう気をつけましょう。

文字を書く力があるかどうかの評価方法

線や形をどれだけまねて描く力があるのかを確認します。

付属のCD -ROMに入っている図形見本カード、A4程度の紙、Bか2B 程度の鉛筆を用意します。

図形見本カードを見ながら、以下の図形を描かせます。

1.横線を描く
2.縦線を描く
3.円を描く(最後に線が閉じているか)
4.十字を描く(2本の線が交差しているか、どのあたりで交差しているか、横線や縦線が1本の線で描けているか)
5.四角を描く(丸みを帯びずに角がきちんとできているか、4つの辺があるか)
6.クロスを描く(斜め線が描けているか、2本の線のどのあたりで交差しているか、線が1本の線で描けているか)
7.三角を描く(丸みを帯びずに角がきちんとできているか、2つの斜めの辺と1つの水平な線があるか)
8.菱形を描く(斜め線がすべてできているか、角が丸みを帯びていないか、上下の角が鋭角で、左右が鈍角になっているか)

斜め線でできている菱形は、7~8歳以上で描くことのできる、とても難しい図形。

りんこ
菱形が描けるようなら、ひらがなの書きはスムーズにできる!
このチェックで確認し、描けなかった線や図形は、次のレッスンで段階的に練習していきます。
なお、子どもの描く力は次のように成長していきます。
・1歳過ぎ・・・殴り書き
・2歳近く・・・ぐるぐると丸を描ける、次第に横線や縦線をまねて描ける
・3歳過ぎ・・・〇を1つ描ける→十字、四角が描ける
・4歳以降・・・斜め線が描ける→クロスや三角形がきちんと描ける

鉛筆で図形を描くⅠ(横線・縦線・十字・丸)

上記で確認した線や図形で描けなかったものを段階づけて練習します。

CD -ROMに入っているステップなぞり書き&模写を用います。

課題の難易度は、なぞり書き→誘導線+ドット→ドット→模写 の順に難易度が上ります。

なぞり書きから始めて、最終的には何もなくても描けることを目指します。
子どものレベルに合わせて、できるところから課題をすすめていきましょう。

ひらがなのなぞり書き

ひらがなのなぞり書きは、ひらがなが読めるようになったり、子ども自身のひらがなに対する興味が高まってきたときに行います。

ひらがなが読めない段階や、興味関心がないときに行っても、ひらがなの読み書きにつながらないことがほとんどです。

りんこ
ひらがなが部分的に読めるような段階に入れば、なぞり書きをすることで読みが定着することも。

CD -ROMに入っている「ひらがな書字難易度表」の順に、「なぞり書き&見本」を用いて行いましょう。

ひらがな書字難易度

・難易度1(横線と縦線で構成されている文字)い・け・こ・に・た・り
・難易度2(画数が少なく曲線のある文字)う・お・か・き・さ・し・せ・ち・つ・の・も・ら
・難易度3(画数が多く回転のある文字)すなはふほまみむやよ
・難易度4(線が屈曲し、斜めの要素のある文字)くてとふへゆるろを
・難易度5(複雑な要素のある文字)あえそぬねめれわん

見本を見ながら模写できるなら、なぞり書きを行う必要はありませんが、文字の形が大きく崩れる時は、なぞり書きを、書き順を間違える時は、なぞり書き&見本を使って行うと有効です。

手先の不器用さから文字の形が崩れる時は、撥ねや払いなどを強調しないようにしましょう。

また、なぞり書きを行う文字の大きさは、手指機能に合わせて調節する必要あり。

りんこ
筆圧は気にせず、低い場合は濃い鉛筆やマジックなどを使用しましょう。

鉛筆で図形を描くⅡ(四角、斜め線、クロス、三角)

鉛筆で図形を描くⅠ(横線・縦線・十字・丸)の続きで、さらに難しい図形を練習します。

課題の難易度は、なぞり書き→誘導線+ドット→ドット→模写の順に上がっていきます。

なぞり書きから始めて、最終的には何もなくても描けることを目指します。
子どものレベルに合わせて、できるところから課題をすすめていきましょう。

ひらがなの模写

本格的な文字練習の開始となります。

文字の練習に入るためには

①ひらがなが読める
➁縦線・横線・十字が描ける
③人の顔がそれらしく描ける(体や手足はなくてもOK)

の3つができていることが条件。

さらに複雑な文字を書けるようにしていくには、クロスや三角の図形まで描けることが必要となります。

CD -ROMに入っている「ひらがな書字難易度表」の順に、「なぞり書き&見本」と「マス<2×2>」「マス<3×4>」を用いて行いましょう。

ひらがな書字難易度

・難易度1(横線と縦線で構成されている文字)い・け・こ・に・た・り
・難易度2(画数が少なく曲線のある文字)う・お・か・き・さ・し・せ・ち・つ・の・も・ら
・難易度3(画数が多く回転のある文字)すなはふほまみむやよ
・難易度4(線が屈曲し、斜めの要素のある文字)くてとふへゆるろを
・難易度5(複雑な要素のある文字)あえそぬねめれわん

最初のうちは枠のあるマスの中に書いていきます。
年齢ではなく手指機能の発達に合わせてマスの大きさを変えていきます。

鉛筆の持ち方 マスの大きさ
第1段階 手掌回外握り・手掌回内握り 5cm四方
第2段階 手指回内握り
第3段階 側方つまみ・静的三指握り
第4段階 動的三指握り(鉛筆を4本の指で持ち、指先が自由に動く) 2cm四方

読みやすい文字を書くために、撥ねや払いをしない、線の端はすべて止めるようにします。

また「ち」など線が曲がる時には、一度鉛筆の動きを止めることを意識させます。

※「へ・く」など斜めの線が出てくる文字は、斜め線が描けるようになるまでは難しいことを理解しましょう。

りんこ
はじめから文字の形が整っていなくても、まずは「文字が書けるんだ」という自信を持たせることが大切。

最後に

『発達が気になる子への読み書き指導ことはじめ』には、こちらの記事でご紹介した内容の他にも、目の動きが未発達なために上手く読めない・うまく書けない場合があることから、眼の動き(注視・追視・両目で見る力)や目で見る力(位置関係を把握する力)を評価する方法や、眼の動き・目で見る力のトレーニングの方法、また鏡文字を書いてしまう子どもの確認方法と修正するための練習方法も紹介されています。

ひらがなの読み書きにつまずいているお子さんの指導の参考になるポイントがたくさんあるかと思います。

また既にお伝えした通り、本書には指導に使用する教材130点が収載されたCD-ROMが付いているので、自分で教材を作成する手間がかからず即、実践することが可能です。

お子さんへのひらがなの読み書き指導を実践されたい方は、是非いちど本書を手に取ってみることをおすすめします。