「大きい-小さい」「多い-少ない」「長い-短い」「重い-軽い」などの”量”の比較は、幼児期に身に着けておきたい概念のひとつ。
この中の「大・小の比較」に関連して、3歳児さん〜年少さんクラスのレッスンでは、「○ばんめに大きいもの」を見つける取組をしますが、この取組にはいくつかのポイントがあります。
今回は、「大小の比較」の概念のうち4つめのステップ「〇ばんめに大きいもの”はどれ?」という課題のつまずきポイントについてお伝えします。
スポンサーリンク
「〇ばんめに大きいもの」を選ぶ課題のつまずきポイント3つ
選択肢全体を見ていない
例として、上のように四つの絵の中から「三番目に大きいもの」を選ぶ課題の場合、まずは4つのものの大きさの違いを見極める図形認識力や、注意力・観察力が必要です。
その上で、小さい子の場合、選択肢が4つ、5つ・・・と増えていくほど、すべての選択肢を見ずにぱっと目に入ったものだけを見て選んでいることもありますので、選択肢全体を見る視野の広さも必要になります。
その上で、
全体の中でいちばん大きいもの=1番大きい
→残りの選択肢の中でいちばん大きいもの=2番目に大きい
→残りの選択肢の中でいちばん大きいもの=3番目に大きい
という手順を頭の中で処理することが必要になります。
この手順が頭の中ですばやく処理できずぱっと答えられない場合は、まず「いちばん大きいもの」を聞いて、次に「いちばん大きいもの」を除いた残り3つの中で「いちばん大きいもの」(→つまりそれが2ばんめに大きいもの)を聞いてみましょう。
それを繰り返すことで「3ばんめ」「4ばんめ」もわかることになります。
順序数が理解できていない
「3番目に大きい」という場合の”3”は、「前から3番目」などの場合と同様、順序を表す場合の数である「順序数」です。
これは「アメが2個ある」というような、ものの量をあらわす「集合数」の”3”とはちがいます。
この「集合数」と「順序数」の違いを理解していることも必要になります。
「集合数」と「順序数」の違いは、小学校一年生の算数で最初に習う内容です。
小さい子どもたちが普段おもに接しているのは「集合数」なので、「〇ばんめ」という意味が理解できなければそもそも大きさ比べも難しくなります。
相対比較ができていない
子どもの中で「大きい・小さい」という概念を相対的に捉えるのではなく、「ゾウさんは大きい」「アリさんは小さい」といった、絶対的なものとして捉えてしまっていることがあります。
つまり、4つの選択肢を見て「これは大きい」「これは小さい」と自分の中で決めてしまっており、正解にあたる選択肢は自分の中では「小さいもの」に入れてしまっているということです。
問題では『3番目に大きいもの』と聞かれているので、選ぶときに「これは”小さい”から違うな」と除外してしまっているのです。
「大・小」の相対的な比較が理解できていないかな?という場合は、大・中・小の3つの大きさのものを用いて、3つのうちの「小」と「中」をくらべた場合、「中」が「大きい」になるけれど、「中」と「大」をくらべた場合には、さっきは「大きい」ほうだった「中」が、こんどは「小さい」ほうになることを理解できるかをたしかめてみましょう。
最後に
「3番目に大きいのはどれ?」といった課題で子どもが答えられない場合、
・・・目に入ったものだけを見て選んでしまっている
・・・「〇ばんめ」という”順序”をあらわす数字の意味がわかっていない
・・・「大きい・小さい」を相対的ではなく絶対的なものとして捉えている
このような可能性があります。
「大小の比較」を教えるには5つのステップがあります。
子どもが正しく答えられていない場合には、ひとつ前のステップに戻ってみて、どの段階まで理解できているかを確かめながら進める必要がありますね。
※関連記事:「大小の比較」の教え方5つのステップ
data-matched-content-ui-type="image_card_sidebyside"